対応は激甘でお願いします

「さ、佐藤さん……本当に体調が優れないなら、もうお帰りになった方が……」


 お節介かもしれないと思いつつそう言うと、顔をしかめた佐藤さんに「あ?」と睨まれる。

 自分より30㎝近く高い人に見下ろされるのは、本当に怖い。

 ちょっと涙目になりながら「すみ、ませ、ん」と途切れ途切れに言う。


「じゃあ、俺が任された仕事、お前がやってくれるのか?」
「……あ、う」
「西条さんの穴埋めと計画策定の土台作りと名簿の変更と……」
「すみませんっ発言が軽率でしたっ」


 死んだ目で仕事内容をぶつぶつと呟き始めた佐藤さんに、慌てて謝る。

 というか、さっきから私謝ってばっかりだ。


「で、でも、本当にお困りなら私も……!」
「冗談に決まってんだろうが」


 そして意を決して言った言葉も、あっさり流された。

 もうなんなの……。

 いろんな意味で涙目になっていると、佐藤さんが「というより」と言葉を続ける。


「俺が引き受けた仕事なんだ。他のやつ巻き込むわけにもいかないだろ」
「……そうかもしれませんけど、誰かの手を借りることも大事だと」
「俺、人に頼るの嫌いだから無理」


 責任感の強い人なんだなと思った直後、バッサリ切り捨てられる。

 でもそれってけっこう毎日大変なんじゃ……。

 人に頼るの嫌いって言いながら、他の人には頼られっぱなしなんて絶対に疲れてしまう。


「で、でも、ですねっそれだといつか調子壊しますし……たまには誰かに甘えた方が――」
「甘える?」
「あ」


 間違えた。

 甘えるじゃなくて、頼るだった。