対応は激甘でお願いします

「それより、三槻。お前、忘れてるんじゃないのか」


 佐藤さんは鞄から4つのコンビニおにぎりとサラダとヨーグルトを取り出して、そんなことを言う。

 おにぎりの数を見なければ、どことなく女性っぽい昼食だ。


「わ、忘れてる、ですか」


 佐藤さんに対して忘れていること?

 なにか提出しそびれている書類が……いやいや、そんな初歩的なことは大丈夫なはず。

 住民の方へのお電話……は、必要なものはメモしているはずだしきっと大丈夫。

 というより、これまで佐藤さんとお仕事をしたこともあまりないし……。


 そこまで考えて、ハッとした。


「激甘になるの忘れてました!」
「そう、それだ」


 そう言って、佐藤さんは満足げに頷く。

 ……今更言うのもなんだけど、やっぱり佐藤さんおかしい。


「さっきから口を開けば口答え。どこが激甘だ」
「……ええと、口答えをしたつもりはないのですが」
「だから、それがすでに口答え」


 おにぎりの包みを綺麗に剥がしながら、理不尽なことを言われる。


「わ、わかりました。これからはできるだけ、イエスマンに徹します」
「ああ、それでいい」


 なんてことを言いながら、佐藤さんはおにぎりを口へ運び始めた。

 ……本当に、本当に今更だけど、私とても厄介なことを頼まれたのでは?