我那覇くんの恋と青春物語~水谷百合編~

移動中は、お互いに口を開くことはなかった。



とにかく二人きりになりたい。



それもできる限り静かなことろで。



それに該当する場所が一つだけ浮かび、そこへと向かう。



こちらからは何と話しかければいいのか、何を聞いていいのかは分からない。

それでも、聞かなければいけない。



彼女には、もう何も背負ってほしくない・・・


「あっ・・・」


プラネタリウムに着いたものの、すでに開館時間は過ぎていた。


「そうだよな・・・この時間まで、やっているわけないか」


彼女は別に構わないというような表情でこちらを見ているが、思わず肩を落としてしまう。



他の場所というとどこも浮かばず、プラネタリウムの前にある公園を見る。

夜ということもあり、中に人はいないが・・・


「私はどこでもいいよ」


あまり長く移動するのも悪いと想い、公園へと入ろうとする。


「あら・・・あなたたち」


プラネタリウムの扉が開く音と、聞き覚えのある声。

振り返ると、そこには董院(とういん)すれみが立っていた。