我那覇くんの恋と青春物語~水谷百合編~

店の前で一人になってしまい、ここで立っていても仕方がないので中に入った。



注文をせずに水谷さんの席へと行くと、驚いたように見上げた。


「あっ・・・どうしたの?」


驚きながらも向かいの椅子を引いてくれ、そこに座る。



先程の光景と雅の言葉が頭の中に残っていて、何から話していいのか分からなくなる。

それでも優しく微笑む笑顔を見て、意を決して口を開いた。


「その・・・たまたま通りかかったら、店にいるのが見えたから」


「み、見てたの?」


「うん・・・見慣れない子だったけど、友達?」


彼女は下を向いてしまい、そのまま黙ってしまった。



もっと違った聞き方があったのではないか。



そんなことを思っても、後の祭り状態だ。


「それもそのはず・・・前の学校の友達」


「それじゃ・・・」


「・・・場所、変えない」