我那覇くんの恋と青春物語~水谷百合編~

「おい、水谷さんが女の子と別れたぞ」


店内をずっと覗いていたコウが、こちらに向かって呼びかける。

雅の視線から逃げるように店内へと目をやり、水谷さんを見つめる。


「行ってやれよ」


もう一度肩を叩かれた。

今度は先程よりも、少し強く叩かれた気がした。


「でも、俺たち三人が・・・」


「馬鹿。目の前に女の子がいるのに、男取ってどうすんだよ。これはお前にとっても、水谷さんにとっても大事なことなんだ」


いつになく真剣な表情で言われ、もう一度水谷さんを見る。

テーブルに座り、何かを考え込んでいるようだ。


「よし・・・コウ!ラーメン食べに行こうぜ。一樹はどうしてもハンバーガーが食べたいらしいから、二人で行こうぜ」


「な、なんだよ、急に」


「別に・・・まあ、俺はいつでも女の子の味方だからね。じゃあな、一樹」


いつもの笑顔に戻り、戸惑うコウを無理やり引っ張って雅は去っていった。