先輩の後ろ姿、いつだってスラッとしている。
小走りにその背中に付いて行って、店内に案内してもらう。
「何食べたい?」
メニューを見せてくれる。

ここの店はこうでああで、とうるさいことも言わず静かにメニューを見ている。
私がちょっと変わったのをお願いすると、旨そうだな、と言ってそれ2つ、と注文してくれた。

向かい合う先輩は穏やかな顔で笑ってる。
明るい店内で端正な顔だちがハッキリと見える。
カッコいいから、もちろん見た目も好き。
好きだけど…
先輩の佇まいや言葉遣い、物事の捉え方こそが魅了し、私を捉える。
そのルーツが見え隠れかするお話しを 先輩は話ししてくれた。
厳格なお父様が今の先輩を作ったんだろうか。だとしたらそれを貫いた、そしてそれを飲み込んだ二人ともが素晴らしく、そしてそんな先輩に出会えた幸運を改めてうれしく思う。
先輩はその厳しさを まだ幼い子供たちにそのまま伝えてしまってるんじゃないか、伸び伸びと見てやれてないんじゃないかと危惧している。
だけど、私は先輩に内在する優しさを知っているから、子供たちにとってそれはさほどつらいものではないだろうと思っている。
不安を口にするなんて…
先輩は何でも自信に満ち溢れているんだと思ってたから、少しびっくりした。
そしてやはりそういう感覚にいつだって魅了されているんだと思い知る。