桜通口の向こうはLEDに飾られて木々が綺麗だった。
「淳也さん、見て下さい。綺麗!」
「お、本当だ。」

ルミナリエだったらいいのに、この風景。
心が洗われる光のトンネル。
最後に見たのがふて腐れて1人で歩いたあの時だったなんてなんだか切ない。

でもこうして先輩の運転姿を見るのは、もしかしたら初めてなのかも知れない。
いつもエンジンだけが掛かってる止まった車だったから。
横顔を見ているのもいい。
危なっかしい車線変更もダメだけどこれが先輩なんだなって感じられた。

「違反行為です!」
「は?何かしたか?」
「交差点で車線変更なんかしたら怖いです…」
「考え事しながら走ってるから気が回らなかったな、悪い。」

「本当にラーメンでいいのか?」
「はい。」
「ふーん、じゃぁここにしようか。」

そう言って先輩の車は一軒の中華料理店に滑り込んだ。

「ちはやが好きだって言うから着てきたぜ?」

黒のライダースだ!
カッコいい…

先輩は寒っ!と言いながらさっさとお店に入ってしまった。
手を繋いでくれるとか、ないんですね。

「えっ?あぁ、ついてきてた感覚だったから、悪いな。」

じゃ、置いてけぼりになってしまおうかな!もう!