柳くんと別れたあと、私は猛ダッシュで家に向かっていた。



私の家は大きな財閥なうえに、お父様がほんっとに厳しくてさ、門限は7時とされているんだけど……



時計はもうすぐ7時を指そうとしていた。



ま、間に合わないっ!!



「もう、柳くんのせいで……!!」



そうだよ、柳くんと話し込まなければこんな目に合わずにすんだのに……!!



7時10分ごろ、ようやく家の門の前に立っていた。



「つ、着いた……」



監視カメラが私の姿を捉え、すぐさま門が開かれる。



私は、ヘトヘトになった体から力を振り絞り、また走り出す。



どうしてうちの庭はこんなに大きいんだろう……



私は庭師を心底恨んだ。



そんなかんなで、私は玄関ホールに入っていた。



「お嬢様!遅くなるのだったら迎えを呼びましたのに……」



「まだ……10分ちょっと……しか……経ってない……でしょ?」



息絶え絶えになりながら、言葉をどうにかつなぐと、私は後ろから鋭い視線を感じた。



「まだ、だと……?」