「……え、章ちゃん今なんて……」



「だから、俺、彼女出来たんだって」



放課後、大事な話があると章ちゃんに言われ、浮かれて行ったらこの様だった。



「か、彼女……」



隣で微笑む女の子は、松島杏里ちゃん。



体がとても華奢で、童顔な彼女は学校のヒロインだった。



「章太くん、あたしが告ったら抱きしめてくれたの。嬉しかったな……」



松島さんは、手の半分くらいまで伸ばしたセーターで、顔を隠した。



「ちょ、杏里。それ今言わなくてもいいだろ!」



「えへへ、だって嬉しかったんだもん」



松島さんに見せつけられている気がして、私は胸がだんだん苦しくなってきた。