「では、優之介くんは中学時代に留学したのかね?」



「ええ、イギリスでの生活は僕に大きな影響をもたらしてくれました」



柳くんはお父様とすっかり打ち解けた。



彼のコミュニケーション力には、私も驚きを隠せなかった。



「爺や、お父様と柳くんは知り合いなの?」



我慢できなくなり、私はこっそり、爺やに尋ねた。



「いえ、彼のお父様とお知り合いなのですよ。会社の取引や会議でよくお会いになるそうで」



「そうなの……」



じゃあ、尚更……



私は、先程から抱いていた疑問がさらに深まるのを感じ、意を決してお父様に聞いてみた。



「お父様、一つ聞きたいことがあるのですが……」



すると、お父様はムッと眉を寄せた。



「何だ?手短にして話せ」


「今日は、どうして柳くんを家に呼んだのですか?」



「あぁ、その事は直に話そうと思っていた。」



少し間をおいた次の瞬間、お父様はとんでもないことを口にした。



「優之介くんは、お前の婚約者になるんだ」