はっ……!!



嫌な予感がして振り返ると、そこには機嫌を悪そうにしたお父様が仁王立ちしていた。



「10分だろうが10秒だろうが門限を破ったことに変わりはない!!」



「ごめんなさい……」



「大体、お前は田代家の令嬢という立場が分かっていないんだ!今日は大切な客が……」



「おじさん、そこら辺にしといてあげてください」



お父様の説教を止めたのは、なんと柳くんだった。



「優之介くん!!来ていたのかね」



途端にお父様の顔がほころぶ。



まるで百面相だな……



柳くんはすっ、と私の横を通り過ぎていった。



「そんな事より……」



柳くんはちらり、と私に視線を向けた。



「彼女が門限を破ることになってしまったのは、僕の責任なんですよ」



「なっ……!!そうなのか、結菜!?」



「あ、あの……えと……」



「久し振りに会ったものですから、つい話し込んでしまって……本当にすみませんでした」



「いやぁ、私もついかっとなってしまっただけだ。気にしなくてもいい。それより早く中に入りなさい、体が冷えてしまう」



「お心遣いありがとうございます」



そう言うと、二人は中に入っていった。



……なんだか、とても速く話が進められている気がするのだけれど……



「柳様はお客様として、お越しになられたのですよ。まさかお知り合いとは存じておりませんでした」



見かねた爺やが説明をしてくれる。



お父様の……客?



なんだか私は嫌な胸騒ぎがした。