財閥娘と悟られないように、車で学校に通うのは避けました。
最初の頃は、よくお母様に心配されていましたが、わたしにお友達ができたと知って、許してくれました。
わたしのお友達、それは今隣にいる女の子。
「ひゆり、学校慣れた?」
「はい、日本の学校はとても素晴らしいところですね!」
「そういえば、小学校中学年のときまでいたんだっけ?」
わたしのお友達、篠原 友美【しのはら ともみ】さんです。
ショートボブが似合う、とても可愛らしい子なのです。
「そうなんです。だから日本のことはあまり知らなくて…お米という食べ物を久しぶりにご馳走になったばかりです」
「こ、米!?流石帰国子女だ…」
そして、わたしが財閥の跡取り娘ということは話していません。
だってなんだか怖いのです。
奏多くんのときのようになってしまうかもしれないと。そう恐れているわたし。