「よーし、もうすぐつくからな!がんばれよー」
男は、元気な声をあげ、雲の間をぐんぐんと抜けながら上へ上へと進んでいきます。
「まってー。『もうすぐ』ってさっきからそればっかり。もう20回は聞いたよ」
『ついてこい』と言われ訳も分からず飛ぶままかれこれ20分ほど。優は息を切らしながら雲で男を見失わないように必死でついていきました。
「俺のスピードについてこれるとはやるなぁ。だいたいみんな途中で動けなくなって俺がおぶっていくんだよ」
男は今度はスピードを落として優の隣を飛びながら楽しそうに言いました。
「飛ぶのもこんなに疲れるなんて思わなかったよ。でも僕もそろそろ動けなくなりそうだよ」
優は下を向いて息を切らしながら、ニコニコしている男に返事をしました。
「ほら、もう見えてきたぞ。お前はあそこでこれから生活をするんだ」
そんな男の言葉に疲れながらも優が上を向くと、今までの雲とは違うそこだけがきらきらと輝いているのです。
「....................」
優は言葉が出ませんでした。これから自分はどうなるんだろう。どんな世界が待っているんだろう。きらきら輝く世界を見ながら優はその光に吸い込まれるようにゆっくりと新しい世界へ飛んでいきました。
