ふわふわふわ
「ここは、どこ?」
『おや、目が覚めたのか。まぁ、もう少し様子を見てみるか』
ふわふわふわふわ
「僕の名前は、桜井 優、、それから、僕のおうちは、えっと、えっと、、僕のママは、、パパ
は、、」
『両親を思い出せないのか。まぁ、無理もないかもしれない』
優は今にも泣きそうな顔で、唇を噛みしめながら地面に目を向けました。すると今度は目を大きく見開き、びっくりしたように辺りを見渡すのです。
ふわふわふわふわ
「あれ、あれ?ぼく、ぼく浮いてる!どうして?なんで?」
優は自分の手を見て、足を見て、顔を触りましたが、どこにも変化はありません。
「どこも変じゃない。 なのにどうして僕は浮いてるの?」
「お前はもう死んでしまったからさ」
優の目の前にヒラリと男の人が飛んできました。優はまた目を見開き驚きました。
「おじさん今どこから来たの?どうして飛んでるの?」
「まぁ、待て。順番に説明するから。まずさっきも言ったようにお前は死んだんだ。だから浮いてるし、飛べる」
「....僕はどうして死んじゃったの?」
優は泣きそうな顔をしながらも男の目をしっかりと見て質問をしました。
「事故だよ。お前は母親と買い物の帰りに混雑した人混みにのまれて手を離して、ぶつかってくる人たちを避けてたら線路に落ちたんだ。そこに電車が来たんだよ」
男の子はしばらくの間黙り込んでしまいました。
「ママは、何してるの?パパは、、」
優はまだ全部を思い出すことはできませんでしたが、男の話しを聞いてママのことが心配で仕方がありませんでした。
「大丈夫だ。お前とはこれから長い付き合いになるからな。俺についてこい」
男は初めてにっこりと優に笑いかけました。その顔はとても優しくどこか寂し気でした。
