「さて、そろそろ戻りましょ?

またこの教室お昼に使えると良いね、のびのび話せて丁度良いね」

「あ、そうだね、行こうか」

花歩ちゃんに続き、わたし達も席を立つ。

「凛、分かってるね?
この教室から出たら……」

「うん」

この教室を出たら、森下君と上間さん。
分かってるよ、ちゃんと気を付ける。

「じゃ、開けるよ?」

わたしが頷いたのを確認して、花歩ちゃんがドアを開けた。

あけ放たれた廊下の窓から、心地よい風が吹く。
締め切った美術室独特の空気に包まれていたわたし達にとって、外の風は新鮮に感じた。