「ここにしない? 多分、誰も来ないと思うし」

わたしが言うと、二人とも頷いた。

「僕が開けて、中を確認します」

翔護が率先して、扉を静かに開け、中をきょろきょろと見渡した。

「大丈夫そうですね、誰もいません。
入りましょう」

翔護の言葉にわたしも花歩ちゃんも、美術室に足を踏み入れる。
画材の独特な香りと、雰囲気。
嫌じゃないけど、不思議な気分になる。

「わ、中学の頃より色々ある!
って、画材よくわかんないけど!」

花歩ちゃんが周囲を見渡しながら、手前の向かい合う形の4人掛けの席に着いた。
わたしはその正面に座って、その隣に翔護が座る。