……。
いるんだけどな、ここに。
まぁでもわたしもさっき聞かれてそう答えたし。

きっとこれから何度もこんな質問される。
慣れなくちゃ。
わたしはチクリと痛む胸を押さえて、気晴らしになにか違うことを考える事にした。

さっき、翔護は2年前にこの町に来たとと言っていた。
孤児院から連れて来られてきた日のことだろう。

確かに、2年前からわたし以外のお手伝いさんや体術の先生と、家族ぐるみのやりとりがあったんだろうな。

そのときから、あの離れの住居に住んでいたらしいし。
わたし、塞ぎ込んでる時期だったから、滅多に自分の部屋から出なかったら、知らなかった。

それにしても、どうして誰も、翔護の存在を教えてくれなかったんだろ……?
お父様に口止めでも、されていたのかな……?

やっぱり自分に関係のあることなのに、わからないことだらけ。

もやもや、する……。