「凛……。
俺は、凛がいたから頑張れたんだよ?
凛が喜んでくれて、良かった」

さ、行こう、と、翔護がわたしの手を引いた。

「わっ……!」

手をつないだまま正門をくぐる。
大げさかも知れないけど、世界が変わった気分になった。

「おはよう凛ちゃん、森下君!」

翔護と一緒に教室に着くと、花歩ちゃんが勢いよく飛びついてきた。

「あ、とと。
おはよう花歩ちゃん」

「今日も元気ですね、佐藤さん」

花歩ちゃんは「うんっ!」と頷いて、ぎゅっとわたしを抱きしめる。

「良かったね、凛ちゃん」

「うん……」

花歩ちゃんは、わたしの耳元で小さく呟くように言って、さっと離れていった。