顔が緩んで仕方ない。

もう翔護は、わたしのボディーガードじゃない。
ただの友達でもない。

大好きな大好きな彼氏として、隠すことなく接して良いんだ……!

「ふふっ! 今日から森下君と上間さんって呼び合うの、やめようよ。
もう隠さなくて良いんでしょ?

わたし、翔護って呼ぶから」

「あ、じゃあ俺も、凛って呼ぶね。
急に呼び方とか話し方変わったら、クラスの皆、驚くかな?」

「大丈夫だよ、きっと」

そうこう言いながら歩いていると、学校の正門に着いた。
わたしは立ち止まって、感慨に浸った。

「翔護、一緒に堂々と登校できるときが、来たね……。
翔護のおかげだよ、ありがとう……」

未だにどうしてお父様が折れたのかは分からないけど、翔護がいてくれなかったら、この幸せな気分も普通の自由も、手に入れることは出来なかった。