「俺、凛のことを諦めたわけじゃないからな。
今は休戦中なんだ。

何があったか知らないけど、今の凛を手に入れたって、嬉しくない。
弱ってるところにつけこんだみたいでな」

「え? う、うん……?」

首を傾げていると、安達君は「わかってねーな」と一言残して今度こそ部屋を出て行った。

閉ざされた扉の向こうから、田中さんのお説教が聞こえる。

わたしは一人苦笑いを浮かべて、それからゆっくりと食事に手をつけた。