「訳が、わからない……。

わたしが自由になるためには、絶対翔護と離れなくちゃダメなの?」

「あ、ちょっと上間さんっ!
しっかり!」

不安定なわたしは、翔護じゃない腕に抱きとめられている。

翔護とは違う匂い。
翔護とは違う雰囲気。
翔護とは違う体格……。

翔護じゃ、ない……。
翔護は行ってしまった……。

溢れ出る涙を止めることが出来なかった。

暫く泣いて、少し落ち着いて来た時だった。

「上間さん、少しお部屋で休みましょうか?

そうだわ、温かいお茶でもいかがかしら?
あ、その前にほっぺの手当をしなくっちゃね」

気遣わしげに瀬田さんに声をかけられる。