「うっわ、見せつけてんの?
お金持ちですよ~って」

「露骨だよねぇ」

「成り上がりの癖に」

「エセお嬢様!」

一応ヒソヒソなんだけど、わざと聞こえるように言うものだから、全ての言葉がわたしに刺さった。

もう、あんな思いはしたくない。
黒塗りの車で校門前に乗り付けるなんて、絶対、しない。

「学校の前までしっかりお送りして、校舎に入る姿まで確認しないと、私が旦那様に叱られます。
旦那様は、それほどまでにお嬢様を大事に想っていらっしゃるのですよ?
どうぞ学校前まで、送らせて下さい」

中堂さんは困ったように言う。
ごめんね、中堂さん、お仕事なのはわかるけど……。