「お、おばぁちゃん?
どうしたの? こんな時間に」

起床時間にしてはかなり早い。
旅館の朝は思った以上に早いし、この時間帯の新しい仕事でも教えようということだろうか……?

翔護も寝ぼけながらも起きてきて、二人でおばぁちゃんの前に立つ。
キョトンとしていると、おばぁちゃんがきゅっと唇を噛み締めて、眉間に皺を寄せた。

「まずいことになった。
急いでここを出たほうが良いぞ」

「えっ?!」

「すみれの奴、あの成金婿に凛ちゃんの行き先を伝えてしまったらしい。
しかも翔ちゃんのこともっ……!
もう少しで2人の迎えが来るんじゃ!」

「なっ?!」

おばぁちゃんがどうしてその情報を手に入れたのかは分からないけれど、とにかく急がなくちゃいけないことはわかった。

「ほら早う、着替えんしゃい!
2人とも、ここを出るんじゃ!」