わたし達は、お互いに好き合っている。
でも、堂々と仲良く出来ない。

お嬢様とお手伝いさん。
これは、周囲には秘密の、恋。

お父様にでもバレてしまったら、翔護と一緒にいれなくなる。
あんまり2人っきりで部屋にいる時間が長いと、怪しまれてしまう。

時々の朝の、ほんの数分。
それが、わたしと翔護が今、唯一想いあえる時間。

……全然、足りないよ……。

「普通のカップルみたいに、堂々と想いあえたらいいのにね」

「凛、それは言わない約束だよ?

今は、これで満足してなくちゃ。
いずれ一緒になれるように、慎重に考えていこうね?」

わかってるよ、わかってるけど……。

だって、もっと一緒にいたいんだもん。
本当は手を繋いだり、デートしたり、したいんだもん……。