「じゃあ上間さん、行きましょう?
わたしが着物の着付け、教えてあげるわ」

「あ……はい!」

わたしはちらりと翔護を見やって、それから先輩中居さんに着いて歩き出した。

ふんわりとしたオーラをまとった、優しそうな女性だ。
歳は……いくつだろう?
大人の女性ではあるんだろうけど……。

そう言えば、昨日わたしを不審者のように見ていた女性が、今日はいない。
休みなのかな?
今度見かけたらお礼を言って、それからよろしくお願いします、と挨拶をしよう。

「上間さん、飲み込み早いのね~。
うんうん、なかなか着こなせているわよ?」

指導してもらいながら着物を着ると、目の前の先輩中居さんがにこりと笑って褒めてくれた。