「上間さんと森下君です。
夏の繁忙期。人手が足りないので住み込みでアルバイトを頼みました」

「おはようございます!
皆さん、今日からよろしくお願いします!」

翌朝、わたしと翔護は旅館で務める人々の朝のミーティングで紹介された。

ゆりちゃんは、大女将の孫だとか、あの有名デザイナーの娘だとか、家出してきたんだとか、知られたら面倒なことは一切言わず、住み込みのアルバイトだ、と紹介してくれた。

「えっと、上間さんはまず着物の着付けを覚えないとね。
森下君は……そうね、何が得意で向いているのか、今日一日いろんな持ち場を回ってみて、見極めましょう」

わたしと翔護は別々に行動することになった。

少し不安だけど、大丈夫。
頑張るって決めたから。