「わしはこれから自室で二人と過ごすから、少し外すぞ。
後は頼んだからの」

「で、ですが大女将……」

「なんじゃ?
久々の孫との再会を喜んじゃあ、いかんのかね?」

「え? お孫さん……?」

わたしと翔護は、未だ驚いた表情を浮かべる女性に頭を下げた。

「最初からそう言って下されば、変に悩むこともありませんでしたのに……」

「す、すみません……。
少し混乱していて……」

ぶつぶつ言う女性に、わたしは慌てて謝った。

「さ、こっちじゃ」

おばあちゃんはスタスタと自室へわたし達を誘導する。

「凛のおばあさんって、とてもお元気なお方だね」

翔護は優しい瞳でおばあちゃんの背中を見つめていた。

きっと、家族がいなくて孤児院で育った翔護は、どこか思うところがあるのだろう。
わたしは声をかけずに、翔護の様子を伺っていた。