「で? 隣の子はあれか?
凛ちゃんのいい男かっ?」

お、おばあちゃん、いい男って……。
違わないけれど、なんだか恥ずかしいな……。

「森下翔護です。
お初にお目にかかります」

翔護はおばぁちゃんに対して丁寧に頭を下げた。

「ほほほ、出来た子じゃの。
ええのぉ、凛ちゃん。
この婆に彼氏を紹介しに来てくれたんか?」

「彼氏……っ。そう、彼氏!
おばぁちゃん、相談があるの!」

「おうおう、ここじゃなんだからの。
入りなさい、凛ちゃん、翔ちゃん」

「翔ちゃん……?」

「お前さんのことじゃ」

ほっほと笑いながら、くしゃくしゃの目尻を下げるおばあちゃん。

戸を引いて玄関に足を踏み入れると、さっきの女性が驚いた顔をしていた。
まさか本当に知り合いだったとは、思っていなかったのだろう。