けど……。

そうは言っても、考えはすぐには変えられなくて、時々一人で、うじうじジメジメ。
心が今の空の色みたいになってしまうことがある。

昨日もそうだった。
昨日心が沈んだのは、朝の出来事がきっかけだった。

わたしと翔護は、いつも通りに中堂さんの車から降りて、傘をさし隣り合って歩いていた。

「上間さんってさー」

前を歩く女子グループの話す声が、聞こえてきた。
突然自分の名前を呼ばれて、ピクリと肩が震えた。

別のクラスの同級生で、顔は見たことがあるけど名前もしらない人達。

小ぶりではない雨粒がアスファルトに打ち付ける程の雨の中、様々な音は雨音でかき消されているというのに、それでもよく聞こえる大きな声のお喋りは、嫌でも耳に入る。