「全く……。

旦那様のご指示とは言え、彼をボディーガードに付ける方が、お嬢様の身が危険なのではないでしょうかね?」

田中さんは一通り安達君を叱ったあと、ぶつぶつ言った。
安達君は、やっぱり面倒くさそうに頭を掻いている。

「あ、あのぅ、田中さん……?」

声をかけると、田中さんははっとこちらを向いて、一礼して説明を始めた。

「お嬢様のボディーガードの森下君が休んでいるので、代理の安達君です。

以前から、森下君が動けないときは彼を呼ぶように、と旦那様から言付かっておりましたので、その通りに。

クラスメイトなはずですから、ご存知ですよね?

森下君の風邪が治るまで。
週末だけの任務となりますが、よろしくお願い致します」