「そうは言われましても、明日お出かけになるかも分かりませんし、ボディーガード不在ですと、森下君が旦那様に叱られます」

と、運転席から中堂さん。
えっ、なんでわたしが代理を断ると、翔護がお父様に叱られるの?

「森下君は、常にお嬢様をお守りすることが仕事です。
それがもしかなわない時は、代理を立てる規約なのです」

中堂さんの言葉に、翔護は困ったように苦笑いを浮かべている。

そんな規約、知らないし、守りたくもない……。
でも守らなくちゃいけないんだ。

翔護が叱られないように、安心してぐっすり休めるように。

「わかり、ました……」

わたしの短い返事に、翔護よりも中堂さんの方が、安心した表情を浮かべた。