普通なお嬢様の極秘恋愛

「あ、僕、風邪引いたみたいです」

中堂さんが待っていてくれるいつもの場所までもう少し、というところで、翔護は突然そう言い出して一つ咳払いをした。

「え? 森下君、大丈夫?」

気づかなかったな、大事な翔護のことなのに……。
お泊まり会だってすっかりはしゃいじゃって、悪かったなぁ。

「早く帰って休んだ方が良いね、行こう、森下君」

「そんな心配そうな顔しなくても、大丈夫ですよ」

「でもっ」

「大丈夫ですから」

翔護は優しく笑いながらわたしの言葉を遮り、立ち止まったわたしを促して歩きだした。