「あの、お父様……!」

何か言おうと顔をあげるけど、威厳に満ちたその顔を見つめると、何も言えなくなってしまった。

「何だ? 凛。
そんな辛そうな顔をして。
学校で何かあったのか?

……寄付金が足りなかったのか?」

いくらでも出してやるから、良くしてもらいなさい。

……。
吐き捨てるように紡がれた言葉に、わたしは怒りを通り越して寒気を覚えた。

もう、お父様には一切、お父さんの面影が、ない。

他人だ、……。
お父様とお父さんは、他人……。

「いえ、大丈夫、です……。
あの、明日も学校なので……。
お休み、なさい……」