後ろから、花歩ちゃんの声が聞こえる。
おじ様勝手だわ! やりすぎ、と、怒気を含んだ声。

いつも明るくて優しい花歩ちゃんにしては鋭い言い方。

「そうねぇ……。
ま、安心して? わたしからは誰にもバレないから」

「ありがとう、ございます……」

ますます涙が溢れるわたしを、翔護は見ていられなくなったのか、抱きしめてくれた。

「すみません、ちょっと凛が落ち着くまで……」

肩越しに、翔護が2人に断りを入れた。

「いいわ、大丈夫よ。

ここ、窓もないから誰に見られる心配もないし、今はドアに鍵かけてあるから」

「うんうん凛ちゃん、今は泣いてもいいんだよ?」

2人とも、そして目の前の翔護も、優しい……。
わたしは翔護の腕の中で、暫くわんわん泣いた。