夕日にむかって両手を伸ばした。
届きそうで届かない距離。
まるで私と夕陽先輩みたいだった。
届いてほしい。でも届かない。
私、ちゃんと伝えられるかな?
ちゃんと言えるかな?
夕陽先輩が目の前にいたら言えなくなっちゃうんじゃないかな。
そう思って空を見上げた。
夕日が『大丈夫だよ』って言ってる。
私にはそう見えた。
私にはもかもついてる。
大丈夫。きっと言える。
期待してた言葉が聞けなくてもそれでいい。この気持ちが伝わるだけでいい。
わがままなんて言えない。
夕陽先輩に知ってもらうだけで幸せ。
「早く来ないかな……」
