✱放課後の屋上✱
『キーンコーンカーンコーン…』
放課後を知らせるチャイムが鳴った。
『バタバタッ』
生徒たちはみんな駆け足で帰っていく。
その中、私は図書室へ向かった。
借りた本を抱え屋上への階段をあがり、屋上への扉をあけた。
「わぁ~キレイ」
思わず声に出るほどキラキラ輝く夕日が私を照らしていた。
「ゆうひ…」
「なに?」
『バタンっ』
ビックリして本を落としてしまった。
私はあわてて拾おうと手を伸ばした。
彼も本に手を伸ばし私より先に拾った。
「はい、どーぞ」
本を差し出したのは私の1つ上の先輩だった。
話したことのない私でも知っている。
『寺田夕陽』
バスケ部の部長でみんなから親しまれている。
でもそんな先輩がなんでここに…?
ハッ!!そんなこと考えてる場合じゃない!
「あ、ありがとうございます!」
本を受け取りお礼をいった。
「いーえ。てか俺の名前よんだよね?」
え?呼んだ?私が?先輩の名前を?
頭にハテナマークが並ぶ。
「ゆうひって俺の名前」
「あっ!」
思い出した。あの時だ。
「ごめんなさい…えっとあれです…」
夕日を指さした。
そのとき、
「ははっ」
先輩が笑った。なんで笑ったのか私には分からなかった。
「お前おもしれーな」
今の状況が理解出来ない…
でもこれだけはわかる。
今、私は人気者の先輩と話しているんだ。