突然のことにびっくりしつつ、グイッと肩を押して離れようとしても男女の力の差は明らかで。




「どうしたの?和くん…」




抱きしめる力はさらに強くなるばかり。


和くんに抱きしめられながら戸惑っていたとき




───バンッ




「玲になにしてるの」




荒々しくドアを開け、今まで見たことがないくらい怖い顔をした翔くんがきた。




「…王子様の登場か」




そんな翔くんに私にしか聞こえないくらいの音量でつぶやいた和くんは




「なにって抱きしめてただけですけど?」




翔くんを挑発するように余裕の笑みを浮かべる。




「…へえ?」




対する翔くんは、いつもの笑顔を消して怖い顔で和くんを見ているから、ふたりとも怖い…。