気づいたらもう終わりの時間に近づいていた。
せめて最後だけはしっかり見ようとじっと試合に視線を向けると
パチッ
ふいに上を見上げた翔くんと目が合う。
私を見た翔くんはニコッと笑い
「あっ…!」
仲間からボールをもらって、ゴールへ走っていく。
何人かのディフェンスを軽々とかわして
「きゃあああ」
華麗にシュートを決めた、その瞬間。
───ピーッ
「4対0で紅組の勝利!」
ホイッスルがなって、翔くんのいたチームが勝った。
それにしても、4点中3点も翔くんが決めてさすがだなあ。
心のなかで翔くんへねぎらいの拍手を送りつつ、そろそろ部活も終わりの時間だから帰る準備をする。
