「次の人。」

「はい。」

面接官の一人が部屋から出てきて書類を見

ながら次の受験者を呼ぶ。順番のきた久留

麻杉夫は大きくもなく小さくもない聞き取

りやすい音で返事し、入って行った。

「失礼します。」

その男の登場は長机をはさんだ面接官五人

にナパーム弾を落とされたような凄まじい

衝撃を与えていた。

「雷光短期大学から来ました二年、久留麻

杉夫です。よろしくおねがいいたしま

す。」

「あ、ああ。よろしく……」

動揺のあまりによくわからない返答をして

しまった真ん中に座る白髪眼鏡の52歳 。

「すわりたまえ。」

白髪眼鏡の失態にたいしてすかさず男から

見て右隣のちょび髭の49歳がフォローを入

れる。

「失礼します。」

男は会釈して席に座る。

「では質問をします。志望動機をお聞かせ

ください。」