「ちなみに、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」


2階の廊下を歩いているとき、アンガスさんが聞いてきた。


「私の名前は長澤(ながさわ) エレナ。呼び捨てでいいよ」


「...長澤...ですか......」


「ん?何か変?」


「いえ、特に。ただ、“シャンドラー”というのに心当たりはありませんか?」


「え?何、シャンドラー?」


私は首をかしげた。


“シャンドラー”......。何処かで聞いたことあるような...ないような...。


「まぁ、気にしないで下さい。いずれわかるでしょう」


“いずれ”...“わかる”...何を?


私はアンガスさんの言っている意味がわからず、頭を悩ます事ばかりだった。


いつの間にか部屋に着いたのか、アンガスさんがドアを開けた。