オレンジに恋焦がれ


グラウンドに着くともう人がわらわらと集まっていた。


姫が
「おそーい!」
と言ったから

「このへたれがぐずぐずしてるから・・・」

と言った。

「ひどっ」と後ろからなんか言ってたけど聞いていないことにした。


嫌だな。肩組んで走るのなんて。

光輝が自分の足と私のを結んでコースを教えてくれた。

うかない顔をしている私を光輝は考える様にしてみていた。


「右足からね。」

「うん。」


右足か。間違えないようにしよう。

もうそろそろかな。

神様。転ばせないでください。転ばせたなら一生かけて恨んでやるからな。


神様なんて信じてないけどここまで来たら神頼みだ!


ひゃー!審判が笛咥えたよ!もうすぐだよ!

一人、心の中で会話してたら


「もも。」

と呼ばれて手を握られた。

「大丈夫。」

その一言で本当に大丈夫な気がした。

ありがとうって言えなかったけど笑顔でうなずけたかな。