紅華姫 [Koukaki] Ⅰ






旦那様の膝に戻った私を、



「(いたい、)」




旦那様はいつもよりも強い力で抱きしめた。まるで自分のものだと見せつけるように、強くーー。





「彼女を、私に下さい!金ならいくらでも貴女に渡す」



アカルト伯爵ががたっと席をたって叫んだ。




それをきっかけに、全員が立ち上がって叫ぶ。中には旦那様の前に跪いて願う人もいた、


「…っ俺もだ、ここの誰よりも金を出す、だから、だからーー」







「金などでルアンナを買えると思うな。………気分が悪い。夜会は終わりだ。」



扉の近くで構えていた黒髪の少女は、にこやかに扉を開いた。


「待ってくれ!私の全財産だぞ、その全てでも、」





「煩い。その話はもう終わりだ」





ばたん、と。


扉が閉まった。