紅華姫 [Koukaki] Ⅰ






私の言いたいことがわかったのか、それとも噂で知っていたのか。



どっちだか分からないが、アカルト伯爵はゆっくりと目を閉じた。






ごくり、



周りが唾を飲み込む音が聞こえる。





私もその閉じられたまぶたに近づき、その二つにゆっくりと唇を落として、そしてーー。




「「っおお」」



疲労で窪んだ頬は健康的に、そして美しく形を取り戻し、艶を失った髪はふわりと無風にゆれる。


そして顔にあったすべてのシワは姿をけして、



「すごい、本当に貴女は……」


「ルアンナ。」



これ以上は十分だ、そんな態度の旦那様に呼ばれて、慌てて彼の膝の上へと戻る。




「本当に、彼女の力は……」


「噂以上だ、」



ざわめく会場。




これが、

私の力。