この王国で知らない者はいない、とまで言われる資産家・ファリード伯爵の屋敷。
そしてそこで行われる、ある特定の貴族を集めた‘本当の夜会’が開かれていた。
「さあ。今夜はとても機嫌がいい。いつもの夜会を始めましょう」
夜会。
この地下室で行われるのは、貴族たちの賭け事や身売り。
どれも表の世界では法によって裁かれてしまうものばかりで。
「さあ、ルアンナ」
…今夜の夜会は、私の番。
「はい、旦那様。」
「皆様にお前の力を見せてさしあげろ」
髪を撫でるその手が止まり、本当に私の出番が来た証。
私は心から溢れる気持ちに一切の蓋をして、にこりと笑って、全員が囲むようにして座っているテーブルへと歩みを進めた。
