赤ずきん「あのさぁ、ここさぁ、一番いいシーンじゃん。違う?」

狼「違いません」

赤ずきん「一番のハイライトでしょ、違う?」

狼「違いません」

赤ずきん「赤ずきんていや、何回も何十回も、いな何千何万回もリメイクされてっけど、毎回お客さんは、このシーン、どうなってんのかな、今回はどんな感じで作ってんのかな、そういう思いで、見てんだからさ」

狼「ん、リメイクってなんすか。お客さんってなんすか」

赤ずきん「もうちょい気合い入れてやって貰わなくちゃ困るんだよねぇ」

狼「すみません」

赤ずきん「ホントに分かってんの」

狼「あの、具体的に何が良くなかったんでしょうか」

赤ずきん「何が?それ、私に言わせるわけ」

狼「えっと…」

赤ずきん「自分で考えるもんなんじゃないの」

狼「そうかもしれません」

赤ずきん「人から教えられるよりさ、自分で苦しんで悩み抜いて、自分で気付いた方が絶対身に付くから」

狼「そうですかね」

赤ずきん「この赤ワイン紹介してくれたソムリエも言ってたよ」

狼「誰ですか」

赤ずきん「ソムリエ。あんたまだ知らなくていい」

狼「失礼しました」

赤ずきん「習うより慣れろだ。もっかい行こうか」

狼「分かりました」