ガラクタバンド

「いや、違うよ。」

冷静に否定する森岡さん。

「そういや、アイツは?今日も来ないの?」
美穂が言う。

「アイツ?」
森岡さんが聞く。

「梶野功一っていう奴。ベース担当なんだけど、サボりなんだよねー。」

美穂が呆れながらドアを見た。
すると、ガラッと開いた。

梶野は、こちらを見てびっくりしている。

「誰!?」
梶野が長く垂らした前髪をいじりながら、言った。

「コチラは、今日からボーカルの森岡薫さんでーす♪挨拶しなさいよっ?」
美穂がきつく言うと、

「梶野です。ども。」

「あ、よろしくお願いします。」
森岡さんが軽く挨拶すると、梶野は普通に座った。
梶野はいつもこんなカンジ。愛想が悪い。


「あ、今、バンドで『粉雪』やってんだよねー。歌える?」

「歌えます。『粉雪』好きなんで♪」

「丁度良いじゃん!合わせようよっ!」