田中 結花 (タナカ ユカ)

高校生二年生の17歳。
兄弟は四つ下に中学生の弟が1人。

「大和〜!最悪!!!」

朝から始まった喧嘩の原因は私が使ってるアイロンの温度が高くなっていた事。
絶対に大和の奴だ。

「え〜ちゃんと戻したはずなのに」

弟は中学生に入ってからバスケ部に入り一年生にして補欠メンバーに選ばれた。
私も卒業したこの中学のバスケ部は選手含め補欠メンバーは全員坊主にするのが代々のルールみたいで弟も来月の断髪まで伸びた髪を中学生男子ながらにオシャレをしたかったのだろう。

「結花あんた今日はデートだって言ってなかった?」

「わかってるって」

___ブーブー

「ね〜ちゃん翔王子さまからッヒャッヒャッ…」

「うっさい!勝手にスマホ見んな!!」
【翔】

ディスプレイに映し出される名前を確認しながらリビングを離れた。

「もしもし」
『あっもしもし?ごめんっ俺急にバイト入って今日行けなくなった』

また。

「え、また?この間もそんな事言ってなかった?」
『まじごめん!明日こそ埋め直しするから!お願い!許して〜』

一方的に切れた電話は2、3回どころではない。

今日は部屋に戻って借りてきたDVDでも観よう。

「あら?デートは?」
「パス」

お母さんに適当に答えた後部屋に戻って借りてきたDVDを並べて見た。
どれも失恋ものばかりでまるで私が失恋してその傷を癒す様に思える。

「はぁ…」

でもまだ何も支度してなくてよかった。
部屋をぐるっと眺めた。
いつもメイクする鏡の前には買ったばかりのラメ入りゴールドピンクのシャドーと桃色のグロス。
壁には昨日選んだワンピースとバック。

「馬鹿だな。あたし」

翔は女子に人気があってスポーツもできる。勉強してないなりに頭は冴えてる方だし。身長も高い。

そんな私とまるでつり合いもない翔と付き合うきっかけになったのは去年の体育祭で同じ小道具係になった私達が後片付けをしてて重いホースを持ってた私に手伝うよって優しくしてくれた翔に私から好きになった。