悲しみに、こんにちは2



ハル君のずるいところを書き出したらきりがない

彼は最近まで10代だった

古い革靴にコート。顔色が悪く、睨みつけるような目。街並みに似合わないような安っぽい男

痩せた長い指の間でタバコをはさみ、所在無さげに立つ。



そんな姿でいつ終わるか知らないのに、何時間も店先で私のクラス会が終わるのを待っているのだ。
白い息を吐きながら、寒い夜空の下で、頭上に雪がたまっていることにさえ気づかずに。


私が店を出ると
いっぱい食ったか?とか夜道は危ないから気をつけろなんてありきたりの台詞を吐くのだ。

昔から彼はそうだった
あの人はそういう男だった
ずるい男なのだ。


あんなずるい男
好きにならないわけが無いだろに。