「何でこの曲なんだよ……これ思いっきり失恋ソングじゃねーか。」

確かにこの曲は失恋ソングだよ⁇
だけど、この曲があったから 今の私たちがあるのかもしれない。

もし、あの時 燕にこの曲を聴かせていなかったら 燕は目を覚まさないままだったのかもしれない。

そう考えると、私たちに縁深い曲……っていう気がするんだよね。

「いいんじゃない⁇
別に 失恋ソングだとダメ……とか ないんだし。」

「それもそうだけど……」

「っていうか、さっきから流れてる燕の写真 本当に坊主の写真ばっかりだよね。」

そのせいで、さっきから 翔平さんが大爆笑してる。

BGMを掻き消すくらいの勢いで。

「……後であいつ絞める。」

「こらこら、そんな怖いこと言わないの。」

その後流れてきたのは 高校の時くらいの写真。

「あ、髪 生えた。」

「もともと生えてるから‼︎」

そのやり取りを聞いていた周りの人が大爆笑。

「いや……うん、そうだね。
なんか……ごめん。」

「……別にいいけど。」

燕が不貞腐れちゃった。

いつもみたいに、頭を撫でて 期限を取り直してもらおうと思ったけど 今日の燕の髪は崩したくないくらい キマってる。