燕が嬉しそうに笑ってたから、良かったんだと思う。
式場を見に来た時、私は一目見ただけで 気に入ってしまった。
ステンドグラスが綺麗な教会。
誰もが夢見るような幻想的な場所だった。
ウエディングドレス選びは少し 苦労した。
だって、妊娠6ヶ月。
お腹が大きいのが目立ってるから、それを目立たないようにするドレスを選んだから。
なんだかんだ言って、気に入ったのを見つけたけどね。
「緊張してきた。」
教会への扉の前。
新郎新婦登場を燕と待つ私の隣にいる燕はとてもカッコいい。
いつもカッコいいけど、今日はそれ以上にカッコいい。
髪もプロの翔平さんが手配した人にセットされてて、いつもと違うヘアスタイル。
「堂々としていればいいんだよ、今日の主役は私たちなんだから。」
燕は笑顔になって
「そうだな。」
って。
いよいよ、目の前の大きな扉が開いて 私たちは長いバージンロードを寄り添って歩いた。
来てくれている人 皆の拍手は大きくて、暖かかった。
歩いている途中で燕の動きが一瞬……ほんの一瞬だけだけど、止まった。
その後 また、何もなかったかのように歩いたから 良かったんだけど……。
あ……、燕のおじいさんとおばあさんの隣に……もう少し若い人……40〜50くらいの男の人と女の人が座っていた。
燕にしか聞こえないくらいの声で
「もしかして、燕の……」
「多分、お父さんとお母さんだ。」
やっぱり、そうなんだ。
だって、男の人の顔と燕の顔が何処となく似ていたから。
燕は、多分 それに気がついて さっき動きが止まったんだろう。



